福岡高等裁判所 昭和30年(く)51号 決定 1955年12月07日
本籍 広島県○○郡○○町大字○○○○番地
住居 門司市○○○丁目
船員 A 昭和十二年五月十四日生
抗告人 法定代理人親権者父、附添人弁護士
主文
本件抗告を棄却する。
理由
本件抗告理由は少年は生まれて間もなく○原○一の子として入籍したものでありますが、実父○善○実母○美は○○郡の山林伐採の仕事に従事して居り同人等が監督して山林の中の仕事に従事さすれば必らず更生するものと考えます。之を少年院に入れて更生出来るかと言うと却つて悪い友人を作り愈々悪の道に入り込むのではないかと憂慮されます。実父母は始めて本事件を知り少年を山林の中に引取り更生させようと別紙身元引受書を提出すると謂うのである。
右少年の本件保護事件の記録を精査するに少年は原決定摘示のとおりその犯罪の回数も短期間内に十六回に及びしかも少年は本件犯行につき主導的役割を演じている事実が明白であるのみならず予ねてからその素行が不良であり既に二回に亘り窃盜保護事件につき不処分の決定を受けたこと並びに少年の環境も亦不良である事実が明白である。右の事情に徴すれば少年を中等少年院に送致する旨決定した原裁判所の措置は相当であつて何等著しく不当の廉があつたとは思われない。
よつて抗告人の本件抗告は理由がないので少年法第三十三条第一項少年審判規則第五十条により本件抗告を棄却すべきものとし主文のとおり決定する。
(裁判長判事 柳田躬則 判事 青木亮忠 判事 鈴木進)